「ダニ取りシートと書いてあるなら、どんなダニにも使えるよね?」
そう思って選びたくなりますが、実は注意が必要です。
ダニには、布団やカーペットなどにいるチリダニ類、食品や湿気の多い場所で増えるコナダニ類、ほかのダニを食べるツメダニ類、屋外にいるマダニなど、さまざまな種類があります。
一般的な室内用ダニ取りシートは、すべての種類のダニを対象にしているわけではありません。さらに、同じ「ダニシート」でも、誘引して捕獲する商品、寄せつけにくくする商品、吸湿性のある素材を使った商品など、目的や仕組みが違います。
この記事では、商品パッケージや公式サイトのどこを見ればよいのか、順番に解説します。
■ 先に結論|「ダニ用」ではなく「対象ダニ」を確認しよう
ダニ取りシートを選ぶとき、もっとも大切なのは、その商品が何のダニを対象にしているかです。
次のような確認をしましょう。
・チリダニ類や屋内塵性ダニ類が対象か
・ツメダニやコナダニまで対象に含まれるか
・寝具用、カーペット用など使用場所が合うか
・マダニなど屋外のダニは対象外ではないか
・誘引・捕獲・忌避のどれを目的にした商品か
「ダニを捕る」「ダニ対策」「ダニよけ」は似ていますが、同じ意味ではありません。
また、商品ページに大きな数字が載っていても、その数字だけで判断しないでください。どのダニを使い、どの条件で試験した数字なのかまで見る必要があります。
■ まず知っておきたい「室内のダニ」と「屋外のマダニ」の違い
ダニという言葉には、たくさんの種類が含まれます。
しかし、布団やカーペットにいるダニと、山や草むらで人や動物に付くマダニは、生活する場所も対策も違います。
【室内で見られるダニ】
家の中では、次のようなダニが知られています。
・チリダニ類
・コナダニ類
・ツメダニ類
・イエダニ
・鳥に寄生するダニ
一般的な寝具用のダニ取りシートは、このうち屋内塵性ダニ類などを対象としている商品が中心です。ただし、対象範囲は商品ごとに異なります。
【屋外にいるマダニ】
マダニは草むらや山などにいて、人や動物に付いて吸血します。
室内のホコリにいる小さなダニとは別です。寝具用ダニ取りシートを、外出時のマダニ対策として使うことはできません。
屋外でのマダニ対策には、長袖・長ズボンで肌の露出を減らす、帰宅後に衣服や体を確認するなど、別の方法が必要です。
皮膚にマダニが付いている場合は、無理に引き抜かず、医療機関へ相談してください。
■ ダニ取りシートの対象になりやすいダニ
ここからは、室内用ダニ取りシートで対象として表示されることがあるダニを見ていきます。
【チリダニ類・ヒョウヒダニ類】
チリダニ類は、家の中のホコリから多く見つかるダニです。
代表的なのは、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニです。布団、マットレス、カーペット、ソファなど、人が長く過ごす布製品の周辺にいることがあります。
多くのダニ取りシートでは、チリダニ類または屋内塵性ダニ類を意識した商品設計や試験が見られます。
ただし、「チリダニを使った試験をしている」ということと、「家庭のすべてのチリダニを捕獲できる」ということは同じではありません。
試験は、決められた容器、温度、湿度、時間、ダニの数などで行われます。家庭では、部屋の広さや寝具の状態がそれぞれ違うため、試験結果とまったく同じになるとは限りません。
【ツメダニ類】
ツメダニ類は、ほかの小さなダニを食べるダニです。人を刺すことがあります。
商品によってはツメダニを対象に含めている場合がありますが、すべてのダニ取りシートが対応しているわけではありません。
肌のかゆみがあるからツメダニ用を選ぶ、という決め方はおすすめできません。皮膚症状の原因は見た目だけでは判断できないためです。
虫がいることが確認できない場合や、症状が続く場合は、医療機関や専門業者へ相談しましょう。
【コナダニ類】
コナダニ類は、湿気の多い場所や食品まわりで増えることがあります。
一部の商品では対象に含まれることがありますが、布団用シートを食品庫へ置けばよいとは限りません。
食品の近くで使う場合は、使用場所として認められているかを確認してください。食品に触れる場所へ、用途が違う商品を自己判断で置かないようにしましょう。
【イエダニや鳥に寄生するダニ】
イエダニはネズミ、トリサシダニなどは鳥に関係して発生することがあります。
この場合、室内へシートを置くだけでは、発生元が残ってしまう可能性があります。
ネズミの巣、建物のすき間、鳥の巣などへの対策が必要になるため、自治体や専門業者へ相談した方がよいケースがあります。
■ 「対象ダニ」の表示はどこを見る?
商品を手に取ったら、表面だけでなく裏面や側面も確認しましょう。
通販の場合は、商品画像だけでなく、商品説明、使用上の注意、よくある質問、公式サイトも確認します。
【1.適用害虫・対象害虫】
「適用害虫」「対象害虫」「対象となるダニ」などの欄を見ます。
屋内塵性ダニ類、チリダニ類など、具体的に書かれている商品を選ぶと判断しやすくなります。
「ダニ」としか書かれていない場合は、メーカーの公式情報を確認しましょう。
【2.使用場所】
対象ダニが合っていても、使用場所が合わないことがあります。
たとえば、次のような表示です。
・布団の下
・ベッドとマットレスの間
・カーペットの下
・ソファのすき間
・押し入れ
・ペット用ベッド周辺
自分が使いたい場所が含まれているかを確認してください。
【3.使用範囲】
1枚で使える範囲や、寝具1枚あたりの使用枚数を確認します。
「大きい部屋だから、とりあえず1枚」では、商品の想定と合わないことがあります。一方で、必要以上に置けば必ず結果が高まるとも限りません。
【4.使用期間】
交換までの期間を見ます。
1か月、3か月など商品によって異なります。価格を比較するときは、本体価格だけでなく、1枚あたりの使用期間も考えましょう。
【5.試験内容】
試験結果が掲載されている場合は、数字の近くにある注釈を確認します。
・試験に使ったダニ
・試験した場所
・温度と湿度
・試験時間
・試験機関
・数字の名称
・実際の製品を使ったか
条件が書かれていない数字は、家庭での使用を判断する材料として不十分な場合があります。
■ 誘引・捕獲・忌避・増殖抑制は意味が違う
ダニ対策商品で使われる言葉は、似ていても意味が異なります。
【誘引】
ダニをシートの近くや内部へ誘い込むことです。
誘引したからといって、そのまま必ず捕獲できるとは限りません。誘引後にどのような仕組みで内部へとどめるのかを確認しましょう。
【捕獲】
粘着部分などで、対象となるダニを捕らえることです。
「捕獲率」と書かれている場合は、何匹のうち何匹を、どの条件で捕獲したのかを見ます。
【忌避】
ダニを寄せつけにくくすることです。
捕獲とは違います。ダニよけシートやスプレーなどで使われる表現です。
【増殖抑制】
決められた試験条件で、ダニが増える程度を抑えたことを表します。
「増殖抑制率100%」と「ダニを100%捕獲した」は同じ意味ではありません。増えなかったのか、捕まえたのか、死滅したのかを分けて読みましょう。
【駆除】
ダニを殺す、取り除くなどの意味で使われますが、商品区分や表示内容によって扱いが異なります。
一般雑貨として販売される商品が、医薬品・医薬部外品のような効能を自由に表示できるわけではありません。商品区分と表示を確認してください。
■ 大きな数字を見るときの5つの質問
商品ページで「99%」「100%」などの数字を見ると、安心できそうに感じますよね。
でも、数字を見るときは次の5つを確認しましょう。
【質問1.何の割合?】
捕獲率、誘引率、製品内捕捉率、増殖抑制率など、数字の名前を見ます。
【質問2.何のダニを使った?】
チリダニ、コナダニなど、試験に使った種類を確認します。
【質問3.どこで試験した?】
小さな容器、実験室、実際の部屋など、試験環境を確認します。
【質問4.どのくらいの時間?】
数時間、数日、数週間では意味が変わります。
【質問5.家庭でも同じ結果になる?】
「試験結果であり、すべての使用環境で同じ結果を保証するものではない」といった条件がないか確認します。
消費者庁は、強い表示と、それを限定する小さな注釈が離れている場合など、消費者が正しく内容を理解できない表示は問題になるおそれがあると示しています。
だからこそ、広告を見る側も、強調された数字だけでなく条件を読むことが大切です。
■ 目的別|どの商品表示を確認すればよい?
【布団やマットレスに使いたい】
次を確認します。
・チリダニ類や屋内塵性ダニ類が対象か
・寝具への使用が案内されているか
・敷く位置
・1枚で使える範囲
・交換期間
【カーペットやソファに使いたい】
次を確認します。
・カーペット、ソファへの使用が可能か
・人が踏む場所でもずれにくいか
・子どもやペットが触れない設置方法
・掃除機を使うときに取り外す必要があるか
【押し入れやクローゼットに使いたい】
次を確認します。
・収納場所への使用が可能か
・湿気対策と一緒に使えるか
・衣類に直接触れてよいか
・使用範囲
【ペットの周辺で使いたい】
次を確認します。
・ペット用品周辺での使用が案内されているか
・かじったり、なめたりしない位置に置けるか
・使用成分
・万が一触れた場合の対応
「殺虫成分不使用」は、「食べても安全」「どの動物にも無条件で使える」という意味ではありません。
■ ダニ取りシートの対象外と考えた方がよいケース
次のようなケースでは、一般的な寝具用シートだけで解決しようとしない方がよいでしょう。
【草むらでマダニが付いた】
医療機関へ相談してください。室内用シートの対象ではありません。
【ネズミの気配があり、人が刺される】
イエダニの可能性を含め、ネズミ対策が必要になることがあります。専門業者や自治体へ相談しましょう。
【鳥の巣の近くから小さなダニが入る】
鳥に寄生するダニの可能性があります。巣の扱いには注意が必要なため、自治体や業者へ確認します。
【食品の中で小さなものが動いている】
その食品を食べず、保存方法と周辺環境を見直します。食品用ではない薬剤やシートを食品に直接使わないでください。
【肌や呼吸の症状が続く】
ダニが原因とは限りません。医療機関で相談しましょう。
■ 商品を選ぶときのチェックリスト
購入前に、次の項目をひとつずつ確認してください。
□ 対象ダニが具体的に書かれている
□ 使いたい場所に対応している
□ 誘引・捕獲・忌避の目的がわかる
□ 使用範囲と枚数がわかる
□ 交換期間がわかる
□ 試験数字の意味と条件が書かれている
□ 子どもやペットがいる場合の注意事項を確認した
□ 使用後の捨て方がわかる
□ 掃除や湿気対策も一緒に続けられる
すべてを完璧に理解する必要はありません。わからない言葉がある場合は、メーカーへ問い合わせるのもよい方法です。
■ よくある質問
【「屋内塵性ダニ類」とは何ですか?】
家のホコリなどに生息するダニの総称として使われる言葉です。チリダニ類、コナダニ類、ツメダニ類などが含まれる場合がありますが、商品表示での定義は確認してください。
【対象ダニが書かれていない商品は使わない方がよいですか?】
必ずしも品質が低いとは限りませんが、目的に合うか判断しにくくなります。公式サイトやメーカーへ確認しましょう。
【いろいろなダニに対応する商品ほどよいですか?】
対象が多いだけで、その家庭に最適とは限りません。使いたい場所、交換期間、必要枚数なども合わせて選びます。
【試験結果が100%なら、家庭でも全部捕れますか?】
試験条件と家庭の環境は異なります。数字が何を意味するのか、どの条件で得られたのかを確認しましょう。
【ダニ取りシートを置けば掃除機はいりませんか?】
必要です。シートではホコリ、ダニの死がい、フンなどを取り除けません。
■ まとめ|対象・目的・場所の3つをセットで確認しよう
ダニ取りシートを選ぶときは、「ダニ用」という大きな文字だけで判断しないことが大切です。
確認するポイントは、次の3つです。
- 対象:何のダニに使えるのか
- 目的:誘引・捕獲・忌避など、何をする商品なのか
- 場所:布団、カーペット、収納など、どこへ置けるのか
さらに、使用期間、必要枚数、試験条件、子どもやペットへの注意事項も確認しましょう。
ダニ対策は、シートだけに任せるのではなく、掃除、洗濯、換気、除湿と組み合わせることが基本です。
表示を正しく読めるようになると、大きな数字や強い言葉だけに迷わされず、自分の家に合う商品を選びやすくなりますよ。
■ 参考情報
・厚生労働省「ダニ防除剤の取扱いについて」
・厚生労働省「ダニ媒介感染症」
・東京都保健医療局「室内環境対策」
・神奈川県衛生研究所「ダニとアレルゲン対策」
・消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」
※本記事は一般的な商品表示の見方を説明するものです。個別商品の効果、適法性、安全性を保証するものではありません。

